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のこしがき

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2009年に合唱団の形で発表して放置していたものを、ひとりで歌いなおしました。

いわば2009年のパーソナルベストセレクション16曲ながら、ほとんど歌って来なかったため2022年、新曲同様の作品集として公表販売させていただきます。

うたの人


誰がなんと言おうと言いたいことがあるのに
思春期より口下手そんな人もいるのよ
曰く今日を超え明日を超え
年を越え君に会いに行くよ
大袈裟な言い草はシンガーソングライターの宿命さ
平成の毎日に号泣場面なんてありそうで、ない

誰がなんと言おうと言いたいことがあるのに
思春期より口下手そんな人もいるのよ
曰く町中で国中で世界中君が一番さ
大袈裟な言い草はシンガーソングライターのやり口さ
平等の毎日に絶望気分なんてありそうも、ない

誰がなんと言おうと言いたいことがあるのに
思春期より口下手そんな人もいるのよ
曰く
愛情や友情と劣情のどっちが好きですか
大袈裟な言い草はシンガーソングライターのやり口さ
平成の毎日に感動場面なんてありそうで、ない

改悛の季節



君と出会うまでにいろいろありすぎて
思い切った台詞が出てこない
あたふたしながらふと空を見る
季節が変わった記念にさてと何をしようか
君の向こうに夕陽が見たい
左手をひさしに右手で僕を引く
君は滲んで見えるだろうか
君は滲んで見えるだろうか

誰のためでもなく生きてきたんだ
悟りきった仕草でごまかして
うそでも良いから笑っていよう
誰かに掛けた言葉は自分のためだった
君の向こうに夕陽が見たい
左手をひさしに右手で僕を引く
君は滲んで見えるだろうか
君は滲んで見えるだろうか

いつだって裏腹な言葉がすべり
見せあって隠しあい受けとめきれず
君の向こうに夕陽が見たい
左手をひさしに右手で僕を引く
君は滲んで見えるだろうか
君は滲んで見えるだろうか

境界


窓辺で煙草吸う僕にまとわりつく君よ
煙草は嫌いじゃなかったのかい
当たり前のやさしさに育まれ
いくつもの矛盾を置き去りに
どこからどこまでを愛と呼べばいいの
毎日それは変わってもいいの

言葉で追いつめる僕を笑うように君は
身体で僕を問い詰めてみせる
当たり前のやさしさに育まれ
許される矛盾の意味は知り
どこからどこまでを愛と呼べばいいの
毎日それは変わってもいいの

当たり前のやさしさに育まれ
築き上げた矛盾に息を飲み
どこからどこまでを愛と呼べばいいの
毎日それは変わってもいいの

素晴らしい世界


歌詞の書けないシンガーが聴衆を愚弄する
ギャラに飢えたるライターが尻拭い苦労する
主義のないプロデューサーは消費者を愚弄する
金の余ったリスナーが経済に加担する

そんなことはどうでもよくて
時間が潰れりゃそれでいい
かたいことはなくてもよくて
お金が動けばそれでいい
困った人の居ない助け合い巡りあい生きている
素晴らしい世界

歌いたいことのないシンガーが資源を無駄にする
生で歌えぬシンガーが資源を無駄にする
歌詞の読めないダンサーが聴衆を魅了する
価値を計れぬリスナーが夢を金で買う

そんなことはどうでもよくて
時間が潰れりゃそれでいい
かたいことはなくてもよくて
お金が動けばそれでいい
生まれてそして育まれるいーずいりすなーが溢れてる
素晴らしい世界
困った人の居ない助け合い巡りあい生きている
素晴らしい世界

おいすぃはうれすぃ


世界は広く手に取るように分かることは僅かです
時間がかかる隣の町の愛の巣までもどかしい
会えない時間を埋めるのは
メールでも電話でもなく目の前のフライドチキン
おいすぃはうれすぃ何故僕は笑ってしまうのか
おいすぃはうれすぃ例え明日がぐらぐらしても
おいすぃはうれすぃ何故全部忘れてしまうのか
おいすぃはうれすぃおいすぃはうれすぃ

心は常に拡げていこう分からず屋が舵をとる
時間はかかるたんこぶ上司の退職までもどかしい
冴えない時間を埋めるのは
カラオケでも会話でもなく
目の前のフライドポテト
おいすぃはうれすぃ何故僕は笑ってしまうのか
おいすぃはうれすぃ例え明日がぐらぐらしても
おいすぃはうれすぃ何故全部忘れてしまうのか
おいすぃはうれすぃおいすぃはうれすぃ

会えない時間を埋めるのは
ゲームでもテレビでもなく
目の前のフライドかぼちゃ
おいすぃはうれすぃ何故僕は笑ってしまうのか
おいすぃはうれすぃ例え明日がぐらぐらしても
おいすぃはうれすぃ何故全部忘れてしまうのか
おいすぃはうれすぃおいすぃはうれすぃ

きれいきれい


先週買ってまだ読んでない週刊誌の下に未払いの請求書
隠したつもりが隠れていない鼻歌のようなため息のバラード
昨日のゴミと一昨日のゴミがテーブルの上に重なって君は舌をうつ

きれいきれいしましょう
洗濯物は一つに纏めておきましょう
きれいきれいしましょう
燃えないゴミは一つに纏めておきましょう

先月買ってまだ飲んでない牛乳パックにも醤油のしみひとつ
隠したつもりが隠れていない思い出の品も八割は用無し
今年の彼と一昨年の彼が一覧表示で並んじゃって君は舌をうつ

きれいきれいしましょう
大事な人と一つの心で会いましょう
きれいきれいしましょう
要らない人も一人や二人はいるでしょう

去年の秋と一昨年の秋の写真の区別が付かなくて君は舌をうつ
きれいきれいしましょう
大事な人とは一つの心で会いましょう
きれいきれいしましょう
要らない人も一人や二人はいるでしょう

同様


ひとりひとり違うから物差し一つで測れない
当たり前のことなのに大人も子供も惑う日々

ひとと違う自分に傷ついて寂しさを感じるのなら
みんながするなり みんなが言うなり同じ様に出来たなら安心よ
みんながするなり みんなが言うなり出来たなら寂しくない 安心よ

ひとりひとり違うから全ては言葉で括れない
当たり前のことなのに幾つになっても惑う日々

ひとと違わぬことに気がついて寂しさを感じるのなら
みんながするなり みんなが言うなり同じ様にしてなさい安心よ
みんながするなり みんなが言うなり出来るって素敵なことよ安心よ

寂しさに曝されて
寂しさに叩かれて
寂しさに愛されて
それに耐えられないならば
みんながするから みんなが言うから同じ様にしてなさい安心よ
みんながするから みんなが言うから正しい筈よ迷いなし 安心よ

おやすみ


おやすみなさい
つかれたでしょう
おやすみなさい
忘れるために

笑っても笑っても行き詰まるときは
怒っても怨んでもかまわないんだよ

おやすみなさい
つかれたでしょう
おやすみなさい
忘れるために

ねばってももがいても届かないときは
僻んでも妬んでもかまわないんだよ

おやすみなさい
つかれたでしょう
おやすみなさい
忘れるために
忘れるために

妥結


君に届く言葉はないだろうか
一言一句の無駄も無理もなく
うれしいよって言葉が伝わらない
君の人生が邪魔をする

疑うことを覚えて僕らは大人になった
だから信じることは特別僕らはわかりあえない

幾千バイトの記号に置き換えても
劇画ほどにわかりやすくない
ありがとうって気持ちは伝わらない
僕の人生が邪魔をする

疑うことを覚えて僕らは大人になった
だから信じることは特別僕らはわかりあえない

君に届く言葉は諦めた
金輪際求めすぎはしない
愛してるって気持ちは知らずとも
そんなささやきで妥結する

疑うことを覚えて僕らは大人になった
だから信じることは特別僕らはわかりあえない

おやすみのあと


今日の最後はおやすみ
あなたは夢をみるの
電話のなかった頃に
出会わなくてよかった

もしも夢で会えたらと昔の人はうたった
もしもタクシーとばしたらあなたは呆れるかしら

今日の最後もおやすみ
目を閉じるのはいつ
あなたの眠った頃を
見計らって諦める

もしも夢で会えたらと昔の人はうたった
もしもメールを飛ばしたら受け止めてくれるかしら

今日の最後はおやすみ
明日が来た時に
あなたが笑っていたら
生きていると思えるの

もしも夢で会えたらと昔の人はうたった
夢で電話をならしたらあなたは笑うかしら

誓いの時間


かすかに虫の音がしみ込んで来た
朝から晩まで歩き疲れたよ
公開空地のベンチの砂を払って
兎に角喉が渇いているんだ

ああ今日も働いちゃったな
誰の為何の為どうでもいいけど
今夜明日明後日僕に良いことがあったら
すぐに君に即座に伝えたいんだ。けどな。

ほのかな夕焼けと悠長な雲
男と女のすきま風の中
公開空地に集ったハトとヒト
兎に角喉が渇いているんだ

ああ今日も働いちゃったな
誰の為何の為どうでもいいけど
今夜明日明後日僕に良いことがあったら
すぐに君に即座に伝えたいんだ。けどな。

どれほど大事な君とだって
朝から晩まで一緒はないから
公開空地でひととき誓うんだ
兎に角君に向かって生きよう

時を超える女


出会って三月四月半年お互い生長したかしら
はにかむ仕草もまださまになる女だから年はとらない

出会って二年五年十年お互い老成したかしら
あなたの笑顔は変わらず素敵年輪さえ感じさせない

だから目を逸らさないで
決してよそ見もしないで
私年齢を超越するの
おばさんにはならないの
いきなりおばあさんになるの

巡った季節数えて遠い目クローゼットから溢れそう
あなたの白髪は意外と素敵男だから気楽なものね

だから目を逸らさないで
決してよそ見もしないで
私年齢を超越するの
おばさんにはならないの
いきなりおばあさんになるの

君と生きていたい


明日をも知れぬ身となれば大事なものがみえるでしょう
失うことをおそれては愛することはかなわない
故に日々を重ね愚痴を重ね寂しさを忘れましょう
君と生きていたいずっと生きていたい
そう思える時間を重ねたい

昨日の今日に裏切られ信じることは大儀でしょう
求めることをおそれては愛することは能わない
故に爪を立てて牙を交えその血で血を洗いましょう
君と生きていたいずっと生きていたい
そう思えて初めて生きてるね

常に指を重ね胸を重ね寂しさを忘れましょう
君と生きていたいずっと生きていたい
そう思える時間が絶えぬように
君と生きていたいずっと生きていたい
そう思える時間を重ねたい

歩いて帰ろう


笑いくたびれて顎をさすりため息
ごめんと言いそびれ独り言にしてみる

歩いて帰ろう電車はまだあるから
一駅歩こう待つ人がいるなら

胡麻をすりすぎて汗ばんだ手のひら
ありがとうと言えず独り言にしてみる

歩いて帰ろう電車はまだあるから
一駅歩こうまだ明日があるなら

暮れていく空に浮かぶビルヂングのかげ
見慣れて見飽きて見失ったものたち

歩いて帰ろう電車はまだあるから
一駅歩こうまだ明日があるから
歩いて帰ろう電車はまだあるから
一駅歩こう待つ人がいるなら

たびびと


落ち着く場所を探して人は旅をするの
それとも旅に疲れて人は落ち着くの

いつだったっけかなあ
ありきたりの今日をうけとめて当り前の明日を待ちわびて
丸くなったねと言われながら概ね笑い飛ばした夜

落ち着く場所を探して人は旅をするの
それとも旅に疲れて人は落ち着くの

なんだったのかなあ
拠り所と思っていた野心は野心と呼べるほどでなく
第一志望と変わりはなくすべらずやり過ごして来たよ

行くべき場所があるから人は夢を見るの
それとも夢に夢見て人はさまようの

なんだったのかな
笑える場所を探して人は旅をするの
それとも旅に疲れたら人は笑えるの

遺し書き


富士見町へ登る坂道どうして僕の好きになる子は
坂の上に住んでいるのかと苦笑いだよ見た目うす笑い

いくつも出会いそしていくつも別れ何故に
別れなきゃならなかったのか思い出せないよ

散歩道は喉が渇くね缶コーヒーの好きな子はいない
缶に口をつけられないのは誰だったっけいつのことだっけ

歩道橋が揺れて驚くどうしてみんな同じ顔したの
手すりと僕を掴んでいたのは誰だったっけみんなそうだっけ

いくつも出会いそしていくつも別れその度
明日を待ちきれなくなって生きてこられたよ

ふとありがとうと言いたくなった僕の好きだったすべての人に
津久戸町へ向かう坂道眺め歩道橋でしばし立ち止まる

Information

型番:PMCD-5122
発売:2022年 10月
価格:¥2,500

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 ラブレコード閉店に伴い、CD作品集をお求めの場合はご一報ください。ライブ会場にご用意させていただきます。
 遠方の方は別途ご相談ください。

ペンツマンレコードで購入

のこしがき

2009年に一度、楽曲として残ればいいと意図してシブイ合唱団調の音源で作りました。が、それをあらため、すべてひとりで歌い直しました。

ご挨拶

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