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散歩というよりも空

世の中がこのようなことになっていて、僕は見た目はそうでもないけど、だいたいいつも元気、という姿勢を崩すつもりもなく過ごして来ましたが、いよいよ生業のお仕事がなくなり、あっという間に心細くと言うか、虚脱状態がやって来ました。しばらくは全部やめとこうと思います。

別に、世間どころか身内にすら誇れるほど頑張って来たわけではないけれど、この5年はあまりに周囲の状況が変わりゆくことの面白さに流されて、じっくりとゆっくりと考える時間がなかったように思います。そう、本だってろくに読めなかったのです。全て休んでみよう。

その代わりに、短い文章を練習がてらに書いていようと思います。これくらいならきっとできる。というか、きっと何かやっていないと気が済まないことだろうと想像するので、一つくらいはやることを念頭に置いておこうと思うのです。トイレに行かざるを得ないのと同様に。

とか言って、やっぱり何も書かない日が来たりして。すぐに来たりして。その時僕は、どんな言い訳をするのだろう。言い訳を考えるのは、得意なんだと思います。小さい頃から随分親から怒られて育ったので、できるだけ怒られにくい言い訳を考えるのは、かなり得意です。

と言うのも、昨日の今日です。正確に言えば、昨夜、さあこれからやるぞ、という文章を書いてアップロードした途端に、もう体温が下がり始めたのを感じました。少し無理をしているんじゃないかしら。自分なりに威勢良く書いたけど、そんな元気は今ないんじゃないかしら。

あさひかな、ゆうひかな、どちらでも

毎年年賀状が届く、古い生徒さんがいます。古いと言うのは、十年以上は会っていないという程度の古さです。その人から、このご時世お仕事がなければ、何か紹介できるかも知れません。困った時は連絡くださいと連絡がありました。困ったので会いに行ってみたのでした。

マスクで人相をほとんど隠し、病気で太ったのでわからないかもと事前に言われていたものの、特徴のある目は変わらず、すぐに分かりました。痩せました?と聞かれ、いや、痩せたり太ったり、いつの時点を起点にすればいいのかもう、分からないやと答えたものです。

杖代わりに自転車をゆっくり押す様子は痛々しさは感じさせないものの、健常な雰囲気でないし、目の前の公園のベンチに一人分空けて腰掛けます。空はやたらと青く、なのにどうしてこんなに風邪の人が多いんだろうというくらい不釣り合いなマスク姿の老人が行き交います。

僕たちは互いにこの十年のことを一生懸命話し、空を見上げます。一級建築士とったの?すごいもんだね、とまた空を見上げ。そうか昔、大手ボーカル教室の講師マニュアルを見せてくれたのは、君だったったんだっけか。すっかりそんなことも忘れてしまっていたなあ。

ところで、お手伝いできる仕事ってどんなこと?という話をしたものの、それはまず君、この半年で荒れた部屋の片付けをしてだ、その書類にしみついた猫の匂いを風で浚って、それからの話だね。お互いまずは部屋の掃除をしよう。と言って別れたものでした。

気がつけば、人と出会っていたなあ。プログラマーを辞める時に、僕は人と会う仕事をするんだと誓ったっけ。次にたまたまありついた仕事が地図調査員だったけれど、そのさなかに始めたこのお仕事で、たくさんの人の人生いや生活を、わきから覗かせてもらったな。

そして、なんとなくこうして、思い出しては会って言葉を交わせる人がいる。十年ぶりに会って、しみじみ空なんか見上げて。これはもう二十年くらい先の風景であるべきなんじゃないだろうか今はまだもっと元気に次から次へ進むべきではないかとは、思いました。

が。

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