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明日の方角へ


すごく長いこと、ギターを弾いてきた。最初にさわったのは、十二歳くらいだったっけか。夢中だったんだと思う。 三年目に、うたを作ってみた。既成のものではない、真似をする必要もない世界があることを知った。夢中になったんだと思う。 当時のノートを引っ張り出したことは書いた。稚拙な内容ではあるが、様式にも技巧にもそれと知らないが故にとらわれない、生気が感じられる。夢中だったんだ。 どんなものが売れるかという論議を尻目に、どんなものなら目の前の人は喜んでもらえるか、どんなものならいつまでもやっていていいのかと、いつも考えて来た。夢中というよりも、余裕がないほど必死だったんだと思う。 今あらゆる角度から見て、僕にはうたいつづける自由がある。だからあとは、楽しくやらなきゃならない。 それだけのことかと、気がつく。 三十年かけてじょうずになったぼくが歌えば、君はきっとよろこぶ。ただ、それだけのこと。 そして、ありがたいことは、それを共有する機会を、今は設けて貰えている。ありがたいと思おう。それだけのことだ。 一部不興を買っていた髪も切り、少し心も軽くなったのかしら。


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