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どちらでもよくは、ない


おおつか音楽祭だって。びっくりびっくりびっくり。

僕は池袋育ち、とも言うし、大塚育ち、とも言うし、都合よく文京区育ちとも、時によっては板橋育ち、とも言う。

大塚駅南口ロータリー、バス乗り場、天祖神社、角のおもちゃ屋。さらに翻ったら日通の営業所もあったが、そこまで行ったらちょっと態とらしく古すぎるね。それでも、大塚台公園には先日もついつい立ち寄っていた。ついでに空蝉橋やら北口商店街は二十歳前後にうろうろしてた地域だ。

南口の変貌ぶりには、たまげる。まるで違う町だものね。しかも駅前にはその日はちょうど、おおつか音楽祭とか言って、大きなステージができていて、まっすぐ池袋に向かって歌う角度だ。流石にちょっとこの僕も魅力を感じた。気持ちよさそう。

それにしても、変わったなー。変わったなー。と呟く。そりゃそうだ。都電の線路を疲れるまで歩いて行こう、と大塚駅を通り過ぎたのは、もう40年も前のことだもの。変わって当然だろう。なあ。

北大塚に住んでいたのはかれこれ30年近く前で、当時南大塚にだってライブハウスなんてなかったんじゃなかったっけか。なあとおいめ。


その日そこで聴いた音たちは、ふだん耳にし慣れたものとはちょっと違って刺激的なものがあって、楽しかった。世の中には、知らない歌を聴きに行くなんて信じられない、と、真顔で言う自称音楽好きの人もあるけれども、わざわざ知ってる音楽聴きに行くのってなんなのだろうと僕などは思う。知らないから出会いがあって楽しいんじゃないのだろうか。

さておき。その夜は、みなさんのためにはなんの役にも立たない歌を歌います、という台詞が印象的だった。その通りだと思った。僕らのやっていることは、この世のほとんどの人にとって、なんの役にも立たないんだ。その上、僕らがそこにかけた時間のほとんどは、一銭にもならないんだ。その虚しさと戦うのが、僕らの使命なんだなあ。けっこう、楽しいんだけどね。その人は女の子だったので恥ずかしいから、通販でその後CDを買ってしまった。こっそり聴いていよう。

と、ここまで書いて、自分にがっかりしている。あの時彼女は、なんの役にも立たない、と言ったのか、ひとつもためにならない、と言ったのか、そこがまったく記憶の中で判然としないことに。

どちらでもよくは、ない。

救いなのは、総文字数が一緒だと言うこと。それはなんの救いなのか?

宿題にしよう。


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